たばこと乳がん
<たばこ好きな道産子に知ってほしい喫煙による乳がんリスク>
2011年データに基づく国立がんセンターによる累積罹患(りかん)リスクによると、女性の生涯がんリスクは46%でトップは乳がんの9%。12人に1人が乳がんに罹患すると推定されています。2002年~2006年の追跡例の10年相対生存率では乳がんは、甲状腺がん、皮膚がんに次いで79.3%と高くなっています。近年の乳がん診断・治療の進歩も寄与していると思われます。
今年8月に国立がんセンターは「がんのリスク・予防要因」を改定しました。喫煙は、肺がん、肝がん、胃がん、食道がん、膵(すい)がん、子宮頚(けい)がんリスクが「確実」とされてきましたが、これに頭頚部がん、膀胱(ぼうこう)がんが、「確実」に追加されました。受動喫煙でも肺がんは「ほぼ確実」です。乳がんは「可能性あり」のままとなりました。
道産子はたばこ好きで、平成25年度の20歳以上の喫煙率は女性が全国第1位で17.8%(全国平均10.7%)、男性は第3位で39.2%(全国平均33.7%)となっています(国民生活基礎調査)。厚生労働省研究班の調査では、閉経前女性では喫煙により、乳がんリスクが3.9倍に、受動喫煙でも2.6倍になるという結論でした(Int・J・Cancer・2005)。これは日本の4つの保健所管内の2万7398人の40~59歳女性のコホート研究(特定の集団を対象に長期的に経過を追跡する調査手法)による信頼性の高いものです。日本全国でコホート研究が行われれば、おそらく喫煙による乳がんリスクは「確実」になるでしょう。禁煙について道産子女性の自覚に期待したいところです。また、受動喫煙でも乳がんリスクが2倍以上に高まるのですから、道産子男性の妻に対する「思いやり」も求められますね。