ほくろが多いと乳がんになりやすい?
アメリカとフランスで発表された、ほくろの数と乳がんの研究結果
最近ほくろの数と乳がんの関係について二つの報告がありました。(PLOS medecine 2014年6月10日号)
一つは米国看護師健康研究(Nurses Health Study)で、24年間(1986~2010)に7万4523人の女性看護師を追跡したところ、5483人が浸潤性乳管がんを発症しました。ほくろの数によって乳がんの相対リスクを推定したところ、ほくろのない女性に比べて、15個以上のほくろを持つ女性は相対乳がんリスクが35%高く、絶対乳がんリスクでも同様に8.48%から11.4%に増加していました。ほくろの数はエストロゲン受容体陽性乳がんのみにおいて乳がんリスクの上昇と関連し、6個以上のほくろをもつ閉経後女性では、母斑をもたない女性に比べてフリーのエストロゲン(女性ホルモン:E2)レベルが45.5%高く、フリーのテストステロン(男性ホルモンの一種)レベルが47.4%高かったことです。この研究は、ほくろの数を自分で数えたことと、白人を対象にしていることで制限があるとのべています。
二つめは、E3Nという40~65歳のフランス人女性を対象にした研究です。18年間(1990~2008)に8万9902人の女性を追跡したところ、5956人が乳がんを発症し、「非常に多くの」ほくろをもつ女性は、ほくろのない女性に対して13%乳がんが増加しました。10年絶対乳がんリスクは、ほくろのない女性10万人当たり3749人から、「非常に多くの」ほくろをもつ女性では10万人当たり4124人と10%増加し、乳がんのタイプやホルモン受容体状況によって変わりませんでした。この点は米国研究と違うところです。この研究の制限は、ほくろの数が自己申告であることと生検された良性乳腺疾患を含んでいることとしています。
妊娠中にほくろの色が濃くなったり、大きくなることから、ほくろと血中ホルモンの変化の関連が指摘されてきました。また、ほくろの数はほくろのがん(悪性黒色腫)の危険因子であり、悪性黒色腫と乳がんの関連を指摘した報告もあります。今回の二つの研究の結論には、閉経前・後、乳がんのタイプなどについて相違点もありますが、乳がんの発生について示唆に富むものです。
皆さんもほくろの数を数えてみませんか。