背の高い女性はがんにかかりやすい?身長とがんの関係についての研究結果が発表されました
身長が高い女性ほど乳がんにかかりやすいという結果も出ています
「ランセット・オンコロジー」という英国の医学雑誌7月21日号で衝撃的な報告記事がありました。身長が10㎝増すごとに大腸がん、乳がん、子宮体部がん、悪性黒色腫など10種類のがんにかかる率が平均で16%増すという内容です。129万7000人の中年女性を9年間追跡した結果ですので大変説得力があります。乳がんは身長が10㎝高くなるごとにかかる率が17%増えるということです。そしてこの関係は社会的・経済的状況に関わりなくみられ、喫煙者ではこの関連がみられなくなると言うことです。これは喫煙ががんに与える影響が強すぎて他の因子の影響が過小評価されてしまうからです。
アジアでは2007年に日本の国立がん研究センターの岩崎基さんらのグループが、身長と乳がんについて初めて報告しています。閉経の前後に関わらず、身長の高い女性ほど乳がんにかかりやすく、身長が160㎝以上では148㎝以下の女性に比べて閉経前で1・5倍、閉経後で2・4倍乳がんになりやすいという結果でした。では、なぜ背が高いとがんになりやすいのでしょうか? 確かなことはわかっていませんが、成長ホルモンやIGF–1 (インスリン様成長因子)が高く身長が高い場合は細胞数も多く、突然変異が多いからではという仮説があります。日本の岩崎さんらのグループは成長期の栄養状態が乳がんリスクに関連すると推定しています。
それでは背の高い女性はどうすればいいのでしょうか? 乳がんになりやすいと言ってもその差はわずかです。禁煙に努め、国立がん研究センターから提示された「日本人のためのがん予防法」(http://ganjoho.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.html 参照)を実践すれば、「がんになりやすい」というわずかな差は乗り越えられるでしょう。
背の高い女性よ、頑張って!