乳がんになりやすいのは、どういう人でしょうか?
乳がんの高リスク因子のある人は1年に1回乳房検診を!
日本人やアジア人は、欧米人に対して乳がんり患率は約1/3〜1/4と低いのです。が、アメリカに住む日系人を見ると、アメリカ白人のり患率の90%近くまで増加していることが分かっています。この原因として生活スタイルの変化、特に脂肪摂取量の多い食生活が挙げられています。日本でも乳がんり患率は上昇しており、今や年間4万人を超えています。
ところで、乳がんになりやすいのは、どういう人なのでしょうか? 1つにはエストロゲン(卵胞ホルモン)に長期間さらされた人です。初経が早い、閉経が遅い人。また、初産が遅い、出産児が少ない人も乳がんになりやすく、エストロゲンの関与がいわれています。高学歴、高身長、都会育ちも同様です。更年期でホルモン補充療法を長期間受けた人も乳がんのり患率が軽度ですが上昇します。OC(低容量ピル)の使用と乳がんとの関連は今のところ不明です。
2つめは遺伝です。母または姉妹が乳がんの場合、そうではない人と比べて2〜3倍乳がんになりやすいといわれています。遺伝性乳がんとしてはBRCA1、BRCA2の遺伝子異常が分かっており、乳がん全体の5%程度がこのBRCA遺伝子異常によるものといわれています。たとえば、自分の一親等以内に3人以上の乳がん患者がいる家族性乳がんの場合は、BRCA遺伝子を調べた方が良いでしょう。現段階では保険が効かないので検査に約38万円かかります。
第3に生活・環境です。飲酒は欧米でも日本でも乳がんになりやすいという研究結果です。閉経後の肥満は確実に乳がんり患率を上昇させます。喫煙の危険性については以前にも触れました。大豆製品は乳がんを予防するという日本の疫学研究がありますが、欧米の実験ではイソフラボンの抗乳がん効果ははっきりしませんでした。大量のイソフラボンはむしろ乳がんを進行させるともいわれています。乳がんの高リスク因子がある人は、2年に1回ではなく年1回の乳房検診をお勧めします。